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第21回三重県母性衛生学会

三重大学大学院産科婦人科 杉山 隆


三重母性衛生学会(会長:佐川典正)は、産科や小児科医師のみならず助産師が一緒に支えていくという特色をもった学会であり、今年で21回目を数え、本年の学会学術集会は三重県立看護大学の村本淳子教授が世話人となり、三重県立看護大学大講義室において開催された。平成18年10月21日、秋晴れの中、約50名が参加した。一般演題が7題と特別講演、座談会の構成であった。

日本母性衛生学会理事長・橘女子大学学長である前原澄子先生より「周産期における各職種の連携」というタイトルで特別講演を頂いた。わが国の母性衛生学会の歴史から説明され、周産期医療レベルが先進国のトップレベルに至ることができたほど母子保健事情も好転した一方で近年の周産期をめぐる環境の変化に伴い、晩婚化に伴うハイリスク妊娠の増加や少子化、産科医・助産師の不足などが加わり、周産期事情は深刻化している。このような背景下、医師・助産師・看護師のそれぞれのアイデンテイテイーを発揮し、お互いを認め合い、連携を深めることの重要性をお話し頂いた。医療周産期医療従事者にとって興味深く、かつ有意義なご講演であった。

また一般演題では、コメデイカルの方を中心に7演題が発表され、活発な質疑応答が行われた。臨床面では最近問題となっている先天性風疹症候群の増加に対する産褥早期のワクチン接種の必要性や看護面では母性に重点をおいた発表がなされた。さらに教育面では、学生により有効な実地臨床への円滑な導入が図れるために考えられたOSCIに関する演題などが発表され、活発な質疑応答が行われた。

本学術集会は来年より医師とコメデイカルの連携を深めるためとそれぞれのレベルアップを図るため勉強会も計画されている。三重県における周産期医療に携わる医師数および助産師・看護師数は極めて厳しい状況にあると考えられるが、今後の母子衛生に関してこれらの連携がさらに強くなることを祈念し、本学会のご報告とさせていただきたい。